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17)経済原理が招いた食糧危機 食糧の自給自足への見直しを |
食糧危機と日本の農業
●やってくる食料危機 驚くべき早さで世界の森林面積が減少を続け、砂漠化が進んでいます。近年、世界各地の耕作地における水不足も問題化してきています。
一方、世界の人口は63億人を超え、多くの地域から飢えに苦しむ人々の報道も珍しくありません。将来にわたって、63億の人々に十分な食糧を提供できる保証はないと思うべきです。
日本は第二次世界大戦以降、経済復興と食生活の変化に伴い、食糧自給率が大きく低下の一途をたどっています。農地面積が激減しているのです。昭和30年代に600万ヘクタールを上回って最大値に達した農地面積は、昭和40年代からの30年間でほぼ100万ヘクタールが減少し、今後も減少は続くものと思われます。
わが国の食糧需給における農地の海外依存面積は増加の一途をたどり、1990年前後には、ほぼ1900万ヘクタールに達しています。
国内農地のシェアは、すでに食料自給率全体から見れば5分の1でしかないのです。これは現在のわが国の食糧自給に対する生産能力が、極度に低いことを表しています。
現段階での農地面積は明治初期の水準に近く、この間に人口は3倍ほどに増加していて、国民の1人当たりの平均耕地面積は5.51ヘクタールで世界の1人当たり平均の45%しかありません。この結果、不足する膨大な食糧の確保を輸入に依存しているのが現実です。
しかし、世界の食糧危機が懸念される中で、非常時には、自立できない状況にあるということを日頃から知っておくべきですし、金にまかせて世界中から食糧を買いあさっている姿勢は是正されなければなりません。
いざという時には、どこの国でも自国民が優先されるのですから。
●進む耕地の壊廃 食糧自給率の低下現象は、お隣の韓国でも深刻な問題になっています。広大な耕作地があるはずの中国でさえやっと自給率を保っていますが、経済発展とともに農業を捨てて都市部に移動する人の数は増大する一方で、食糧自給率の低下は時間の問題と思われます。
日本や韓国の場合、都市的利用や放棄による耕地の壊廃が進み、耕作総面積が急速に減少しています。
世界各国でも耕地面積の減少は続いているのですが、日本・韓国の減少は特に急速です。
わが国の耕地面積は、昭和36年の608万6千ヘクタールをピークとして年々減少。平成12年には約20%減の438万ヘクタール。原因と思われるものは、農地開発や干拓による耕地拡張があったものの、社会や経済の発展に伴う農業以外の需要に応じた転用や、農業者の離農・経営縮小に伴う耕作放棄等の壊廃が上回って進んだ結果と思われます。このような動向は世界の食糧生産に不安がある中、極めて危険な動向です。
なぜ近年、積極的に耕地の壊廃が進められてしまうのでしょうか? それもその地域の経済発展とともに、耕地面積が減少していくからです。何人も労働に見合う報酬が得られれば、自らの仕事を捨て去りません。
価格競争もその良い例です。続けていられないのです。世界の物流が盛んになるにつれて農産物の移動も簡単になり、経済格差のある地域から食糧を安く買いつけ、ビジネスになってしまう。
このような経済原則がある限り、決して高い犠牲を払ってまでも将来にわたる食糧の自給体制を守ろうなどとだれも思いません。
しかし、食糧は私たちの命を守る側面を持っているのです。食糧がなければ、生死に関わるものなのです。
少なくとも日本、韓国、中国などをはじめ、耕地の壊廃を続けることは、食糧危機の可能性を増大させる行為です。早急に耕地を維持し、将来にわたって食糧の安定供給を実現する耐性を樹立することが重要です。
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