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32)自然破壊を進めた略奪型農業 早急な食物生産環境の転換を
近代農業と永続可能な社会

●略奪型農業から循環型農業へ
 誰でも知っていることですが、私たちも他の生き物たちも生命活動のエネルギーを食物から得ています。しかし、その食物について人々が持っている感覚は、安いか高いか?新鮮か?美味しいか?ぐらいが主な感覚だと思われます。
 私たちが摂取する食物の多くは農産物ですが、その農産物の生産方法を見直す必要に迫られているのです。地球環境保護と人々の健康を守るという視点から、従来通りの生産方法に限界が見えてきたのです。
 その農産物を生みだす土壌は、ヒトが考えるほど本来単純な存在ではありません。適度な降雨量や風土条件さえ揃えば、バクテリアなどをはじめとする無数の微生物やミミズや小さな虫などの力によって、持続可能で豊かな循環型世界が土壌の中に成立しているのです。
 近代の農業は作業の手間を省いて収穫量を増やそうと、自然摂理を無視して一方的に土壌から作物を得る略奪型農業一辺倒の道を歩んできました。

●農薬販売業務が主体の農協
 環境汚染の拡大や化学物質漬けの食べ本を生み出す構造ではなく、自然の摂理に逆らわない持続可能な循環型農業普及のために農協や農水省の存在意味があるはずなのですが、農薬や農機具販売を主な業務とする組織であったり、選挙のたびに騙し続けて農業から誇りと夢を奪い去った挙げ句、後継者不足などという、結果的に間の抜けた状況を作り出してきている農政。
 このような食物生産環境は、私たちの口に入る大切な食物の品質に大きな影響与え、近年食べ物の質を追求する人々の間でオーガニックブームがおきている背景にもなっています。
 アメリカで、以前から、耕作地の表土流出化現象が近代農法の欠陥によるものとして専門家から指摘されており、農薬による河川の汚染など環境問題も顕在化しています。
 事実、2千万人近い人々の飲料水として利用されている米国のミシシッピ川から、アトラジンと言う除草剤が基準をはるかに超える濃度で検出されたり、奇形のオタマジャクシも多く発見されるなどの報告も相次いでいます。
 試算で、農地に投入される窒素化学肥料の4分の一は河川に流出するという報告もあります。
 流出した農薬や化学物質は、予測もできない形で生態系や地球環境を破壊します。
 2006年1月9日に中国の国家海洋局が発表した2005年の中国海洋環境調査によると、中国近海の汚染は深刻で、陸上からの汚染物質の垂れ流しが主な原因と指摘。
 調査結果によると、汚染が深刻なのは遼東湾、渤海湾、長江河口、杭州湾、江蘇省近海他。汚染海域は14万平方キロに及んでおり、2005年に陸上から流されたされた廃水の総量は317億トンに達し、その84%に汚染物質が基準以上含まれているという報道がありました。

農薬も化学物質、汚染物質です
 日本各地で大きな漁業被害をもたらしているエチゼンクラゲ大発生。その生まれ故郷が中国沿岸である研究もTVなどで報道されています。
 赤潮の被害も年々深刻になっています。農地から流出する農薬が海を汚染し、汚染された海からエチゼンクラゲや赤潮の大発生が生じると考えざるを得ません。海洋汚染の主な原因は農薬だけではないのですが、大きな影響を与えていることは間違いないと考えて良いでしょう。地上も海洋も汚染が進んでいます。
 命を支える大切な食物のほとんどは自然環境の中で得られます。
 劣悪になっていく食物生産環境の中で、安心して食べられるものが年々減っています。ヒトは愚かな存在と思いたくありませんが、ヒトさえいなければ汚染もなく緑豊かな自然環境が実現すると、ヒト以外の生き物に言われないように、一人ひとりが意識を持って行動することが要求されています。


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