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34)目先の利益を超え 新しい価値観の経済活動を
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企業経営と地球環境
●時代が要求する企業倫理とは 環境問題から企業活動を考えてみますと、改善されるべき問題が山積み。休むことなく続けられる経済活動も、自然界の掟から見れば、多くの企業が反社会的行為かつ反自然環境に該当してしまう現実。
今日、環境維持の観点から持続可能な経済活動が求められています。完全な循環型物流システムの構築が要求されているのです。生産・物流・消費・還元(リサイクル)の過程で、処理できない物質が生まれないことが絶対条件です。
理想論の前に今できることは何でしょう。清涼飲料水の流通を例に挙げてみても、空き缶一つの処理に一体、いくらぐらいの費用がかかっているのでしょう。ゴミ回収車の購入代金、地方公務員の人件費、ゴミ処理場の建設費、その他推測の域を出ませんが、一日あたり一台のゴミ回収車にかかる費用は想像を超えた額になるはず、それに加え集めた空き缶を再度原料にするエネルギーコストを考えると、空き缶一つに百円以上の経費がかかっていると思われます。企業利益を優先すれば環境問題は後回し。今のシステムと技術とでは、モノのリサイクルに多額の経費が必要とされるからです。ゴミを埋め立てる場所はもう既にありませんし、可能であっても子孫にこれ以上負の遺産を残すべきではありません。
制度や法的規制の甘さも手伝って企業側は、モノを生産した後はタレ流し状態の物流を許されています。生産工程では環境問題を意識し始めてはいますが、生産されたモノが資源として循環されるまでの責任を負うことは稀です。前述のように多額の税金が経済活動によるモノの生産の後始末のために支払われています。
缶に保証金制度を取り入れ50円程度の還元金をつければ、自然に捨てられずにメーカーに環流するのに、不思議なことに行政はこれ一つ指導、改革できません。
紙の原料も木材から新たに作る方が安く再生紙が割高になってしまうシステムに対して、課徴金制度を導入すれば、自然環境の保持に一歩前進するのです。
●目先の利益は高くつく いったん失われてしまった環境を取り戻すには、想像をはるかに超えた時間と費用がかかりますし、失われた自然環境が戻る保証もありません。社会的損失かつ、地球にとって大損失なのです。
自然環境なくして私たちの生命は存在し得ないのです。国家、民族、宗教を超えた問題です。ましてや企業の利益が優先されるはずはないのです。企業の正しい社会性が問われる時代が到来しているのです。人々の意識はつい何年か前まで、地球には無限の可能性があると錯覚していました。やたらとモノを燃やす、自然物が燃えるならばやむを得ない場合がありますが、自然界に存在しない化学物質の発生を伴う焼却行為やゴミの海洋投棄、ゴミの埋め立てなどはその意識の現れでしょう。人間を除けば、生物の生命活動は完全循環型です。人間は併せて経済活動を行っています。経済活動の核とも言える企業活動、その経営のあり方には新しい価値観が求められています。
●目先の利益は高くつく 限られた地球環境の中で、環境破壊を起こさない知恵が企業経営に必要です。
徹底した合理化によって、企業は生き残りを迫られていますが、果たして正解でしょうか。人の価値をもっと大切にする経済活動が結果的に環境問題にも大きく寄与するはずです。人の手による作業を重視すべきなのです。心と心のふれあいは可能な限り多くあるべきです。効率的・経済的に豊かであることが、はたして人々の心の充実感に比例しているのでしょうか。答えはノーです。
お金というものに対して、人類は意識を変えなければならない世紀です。確かに昔に比べ便利になりましたが、人々の心にはすでに、未来への限りない憧れも希望も存在しません。抜けるような澄んだ青空が、目に映える緑が失われていくのと正比例するように、心が病んできています。経済先進国にうつ病の増大がみられます。企業経営者は、近未来の価値観に気がつくべきです。
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